猫のアレルギーのしくみと原因

普段よりグルーミングが増えたら疑う / かゆくなくても要注意

猫の過敏性皮膚炎は、犬のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーに比べると、極めて多彩な症状を呈します。基本的にはかゆいものが多いのですが、かゆくない病変を作ることもあります。2つ以上の異なる症状が複合することも珍しくありません。

アレルギーで起きる主な5つの症状

• 頭や体をかきこわす
• 皮膚に赤いブツブツができる
• 地肌は赤くないのに毛が薄くなる
• 上唇に潰瘍ができる
• 口の中や肉球、腿にしこりができる

猫は健康でもよくグルーミングをする動物です。しかし毛が薄くなるほどなめ続けている場合は要注意。「地肌に変化がないから大丈夫」と思われることもありますが、実は過敏性皮膚炎によるかゆみによってなめている可能性があります。床に落ちる抜け毛の量が増えたり、寝床に毛玉がたまったりした場合も注意しましょう。
また、唇や口の中もチェックしましょう。唇の潰瘍（えぐれている状態）や腫れている病変がある場合も、過敏性皮膚炎が関与している場合があります。これらの病変はかゆくなく、食べることの障害にならない場合が多く、飼い主さんが気づかないことがあります。

過敏性皮膚炎と
間違えやすい症状

いわゆる人の水虫に当たるカビの感染症が猫では注意です。これは皮膚糸状菌症と呼びます。屋外に出たり他猫と接したりする機会が多い猫は高リスク。人獣共通感染症なので、家族にもかゆみや湿疹ができる場合があります。
また、ストレスが原因になることもあります。近所で工事が始まったり新しい猫が増えたりするなど、生活環境に起きた変化がきっかけで過剰にグルーミングをしてしまう猫もいます。おなかばかりを集中的になめ続ける場合、胃腸や膀胱に痛みや違和感があるのかもしれません。たとえば、便秘や膀胱結石の可能性もあります。人が腹痛のときおなかをさするように、グルーミングをしている状態です。

過敏性皮膚炎のリスクが高い猫は？

リスクが高い猫種はまだ十分にわかっていません。短毛や長毛との関連も不明です。海外の報告ではアビシニアンで好発しやすい可能性が示されています。
アレルギーを発症する年齢は3歳以下が多い傾向にありますが、高齢になってから発症するケースもあり、犬よりも幅広いことが特徴です。健康な猫であっても、将来過敏性皮膚炎を発症する可能性はゼロではありません。

猫はよくグルーミングをするため、皮膚病のサインであっても見逃してしまいがち。小さな変化に気づけるように見守ってあげましょう。

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