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愛犬との絆を深めるドッグスポーツ

犬と人が一緒にスポーツを楽しむ“ドッグスポーツ”をご存知ですか?
アジリティーやフリスビードッグ、ドッグダンスなど、世界的な大会があるものから、
犬ぞりなどの地域性を生かしたものまで、幅広い競技が存在します。
今回は、人と犬が息を合わせて障害物をクリアする競技、
アジリティーを教える横浜安達ドッグスクールの安達富三さんに、ドッグスポーツの魅力を伺いました。

お話を伺った方安達 富三さん
(横浜安達ドッグスクール)

JKC公認訓練範士。日本警察犬協会公認2等訓練士。アジリティー教室にて、トレーナーとしても活躍。犬が本来持っている能力をなるべく引き出し、最大限の力を発揮できるように、と言う信念のもと日々トレーニングをしている。JKCアジリティー競技会理事長賞受賞経験あり。生徒さんがFCIWAC (FCI World Agility Championship)、USDAA (United States Dog Agility Association)、WAO (The World Agility Open)、IFCS (International Federation of Cynological Sports) 出場。

ライター:田中 理恵

INDEX

飼い主さんのよろこぶ顔を
見るのがうれしくて、
犬は張りきってくれます!

うちの犬でもドッグスポーツを始めることって、できるの?

走ったりジャンプをしたり、もともと運動が好きな性格の犬は、比較的スムーズにスポーツに向いていると言えます。例えば、ボーダー・コリーやシェットランド・シープドッグ、プードル、パピヨンやジャック・ラッセル・テリアなどの犬種などです。とはいえ、人間と同じように、犬にも固体差はあります。ボーダー・コリーの中にも、走るより室内で飼い主さんになでてもらっている方が好きなおっとりした子もいます。犬種に関わらず、元気いっぱいで走ることが好きな犬は皆、スポーツに適していると思います。また始める年齢ですが、好奇心旺盛な幼犬のほうが、興味を示しやすく吸収も早いと言えますが、一方で10歳でも、世界大会で活躍している犬だっています。何歳からでも始めることはできますし、元気であれば何歳まででも続けることはできます。より絆を深めたいと思えば、どの子でも始められます。ただし、ダイエット目的で始めたいと考えている場合、犬の体に負担がかかるので、適正体重まで減量してから始めるのがオススメです。

毎日の散歩のなかで、
“人と犬が一緒に遊ぶ”
習慣を身につけましょう

どんな風に練習をしたらいいですか?

愛犬と毎日、散歩に出かけますよね? 他の犬と挨拶をしたり、外の匂いを嗅いだり、犬にとって、散歩はとても幸せな時間です。それに加えて、一緒に歩くだけではなく『外で犬と一緒に遊ぶ』ことも、ぜひやってみていただきたいです。例えばボールやフリスビーを投げて、咥えて持ってこさせたり、おもちゃで引っ張りっこや追いかけっこをしたり、8の字に股をくぐらせたり、さまざまなアクティビティをしてみましょう。オスワリやマテと同じように何度も繰り返し、できたらおやつやおもちゃを与えてたっぷりほめてあげてください。こうして外で一緒に遊ぶことが、ドッグスポーツの原点です。密なコミュニケーションをとることで、犬は飼い主の言うことを優先できるようになり、よりよい関係を築くことができます。本格的に始めたい場合は、目当てのドッグスポーツを教えているスクールやサークルなどを見つけて見学してみるのもいいでしょう。

気がつけば、飼い主が本気になっていることも。
大会に出るためには長期的に計画を!

アジリティーの大会には、どのくらいで出られるようになるのですか?

アジリティーは人と犬がペアになり、ハードルやトンネル、シーソーなどの障害物を定められた時間内にクリアしていく競技です。まずは1つずつ障害物の乗り越え方を覚え、徐々に2つの障害物、3つ、4つと繋ぎ合わせるように練習していきます。おやつやおもちゃ、飼い主のほめ言葉が、犬のモチベーションとなって、だんだんと自分から進んで楽しめるようになっていきます。たいていの大会にはビギナーから上級者まで、レベルに合わせた出場枠があるので、初めてでも躊躇する必要はありませんが、一般的な目安として1年間はしっかり練習を積みたいものです。1つでも苦手意識がつくと克服するのに時間がかかるため、練習期間はそれ以上になることも。飼い主の努力や根気、忍耐も必要ですが、その分、目標を達成できたときのよろこびは何にも代え難く、競技にはまっていく飼い主さんもたくさんいます。

どんな壁にぶつかっても、一緒に
乗り越えていく心構えを大切に!
犬は飼い主のよろこぶ顔が大好き

実際に始めてみて大変なことは、どんなこと?

怖がりだったりシャイだったり、スポーツへのモチベーションが低かったり、どんな犬種にもスポーツに積極的ではない犬は、必ずいます。彼らのやる気を引き出すのに苦労される方もいます。また、練習や大会の遠征にかける時間や練習場所の確保など、さまざまな壁にぶつかる方もいます。けれども一番大事なのは、愛犬と飼い主が一緒に楽しむ気持ち。飼い主が愛犬のイキイキとした顔を見たいと思っているのと同じで、実は犬たちも飼い主のよろこぶ顔を見たくて、それを励みに張り切っているのです。一緒に課題をクリアする喜びや達成感も、犬たちがきっと教えてくれるはずです。

一緒にスポーツに取り組むことで、
人と犬との関係性が
よりいっそう深いものに!

ドッグスポーツの魅力とは、どんなところにありますか?

愛犬のイキイキとした表情や、よろこぶ姿を見ることができる。これが一番の魅力だと思います。できなかったことが1つずつできるようになる達成感を共に味わうことで、犬との絆をいっそう深めることができます。苦労した時間も含め、二人三脚で積み上げるプロセス全てが、愛おしい時間となります。また大会では、走力に自信のある男性のハンドラーよりも、犬との息がぴったり合った高齢の女性ハンドラーの方が早いタイムを叩き出すなど、人間だけでは味わえない展開の面白さや奥深さがあります。真夏をのぞき、一年中、全国各地でさまざまな大会が行われています。大会に足を運び、見学してみるだけでも楽しいですよ。さぁ、まずは散歩の合間に“一緒に遊ぶ”ところから、はじめてみませんか?