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パピークラスに潜入!Vol.1
~子犬の社会化のコツとは~

子犬と飼い主が一緒に参加して、学んだり体験したりする「子犬のためのしつけ教室」がパピークラス。
今回は、村田香織先生監修の「もみの木動物病院」で実施されているパピークラスに潜入してきました。
その内容をお届けします。

お話を伺った方パピーケアスタッフ 大谷 将太(もみの木動物病院)

動物の専門学校(エコーペットビジネス総合学院)で犬のしつけについて学び、
現在は「もみの木動物病院」にてパピークラスや犬の幼稚園を担当。
公益社団法人日本動物病院協会認定パピーケアスタッフ。
http://www.mominoki-world.net/

監修村田 香織 獣医師(もみの木動物病院)

兵庫県神戸市にある「もみの木動物病院」の獣医師。犬や猫の攻撃行動、無駄吠え、不適切な排泄などといった問題行動の治療やしつけを専門に活躍中。飼い主とペットが楽しく幸せに暮らすための教育を、こころのワクチンとして執筆・講演活動を通じ多方面に取り組む。
著書に『こころのワクチン』『パピーケアスタッフBOOK』など。

ライター:山ノ上 ゆき子

INDEX

パピークラスってどんなことをするの?

子犬の飼育方法やしつけ方などは、文字だけでは伝わらないことが多くあります。そのため、子犬と飼い主が実践できるようにさまざまなプログラムを用意しているのがパピークラスです。もみの木動物病院では、生後5カ月未満の子犬を対象に全8回コースで、社会化の練習や子犬のお世話の仕方、健康管理の方法、しつけ・問題行動の予防、上手な遊び方など、飼い主とワンちゃんが一生を通じて良い関係を築くために必要なプログラムを実施しています。潜入した当日は、生後約2カ月半から約5カ月のワンちゃんたちが飼い主さんと一緒に学んでいました。こちらでのレッスンは、子犬に負担がかからず、学習理論に基づく科学的な方法での指導が行われ、動画なども交え、理解しやすくなっています。

動物病院は、ワンちゃんが
喜んで行きたくなる場所に!

子犬は、社会のさまざまことに慣れる社会化に適した時期。特に生後4カ月頃までは、まだ警戒心も少なく慣れやすいので、楽しく人とふれあうことが大切なのだそうです。もみの木動物病院では、到着したらまず健康診断を兼ねた診察の練習が始まります。獣医師さんや動物看護師さんに体を触らせてくれたご褒美として、美味しいオヤツをもらえるのでワンちゃんたちもご機嫌です。動物病院は体調が悪い時に訪れ、注射なども行うのでワンちゃんにとって苦手になりやすい場所。そんな動物病院を「美味しいオヤツをくれる場所」「優しくしてくれる人たちがいる場所」など、安全で怖くない、良いイメージを持ってもらうため毎回教室に入る前にこの時間を設けているそうです。
子犬のうちから動物病院やスタッフ、または診察台に慣れておくと、定期的な予防接種や健康診断、実際に検査や治療を施すことになったときに、ワンちゃんが大きなストレスなくリラックスして受けることができるのだそうです。どのワンちゃんも嫌がらず、上手に診察台で体を触られてご褒美のオヤツをもらっていました。

教室に入ったら、
まずはトイレトレーニング

教室に入ったら、家からの移動や診察の時間などでそろそろ排泄をしたくなっている可能性があるので、まずワンちゃんを教室内にあるトイレサークルの中に入れて、しばらく様子を見ます。トイレシートの上でするように排泄を促して、排泄ができたら褒めてご褒美のオヤツをあげてからサークルの外へ。クラス中も、ワンちゃんがソワソワと床のニオイを嗅ぐような動きを始めたら、先生から「トイレしたそうですね」と声をかけてもらいトイレサークルへ誘導できるので「トイレのサインが分からない」「なかなかトイレを覚えてくれない」と悩んでいる飼い主さんにとって分かりやすくて早く身につきそうです。子犬の時期からトイレの成功経験を積ませることが良いトイレトレーニングにつながるそうです。先生もしっかり見てくれているので、トイレのサインを見過ごさず飼い主さんも安心です。

子犬の「社会化のコツ」が詰まったプレゼント

社会化クッキー、ハンドリングタッパー、スペシャルおもちゃ

潜入当日には、パピークラス初日を迎える生後2カ月半のグレートピレニーズのワンちゃんがいました。もみの木動物病院では、初めて参加する方に「社会化クッキー」「ハンドリングタッパー」「スペシャルおもちゃ」の3つがプレゼントされます。
「社会化クッキー」とは、ワンちゃんが人とご挨拶するときにもらえる社会化のためのオヤツのこと。この社会化のためのオヤツは飼い主さん以外の人からワンちゃんにあげてもらうのがルール。たくさんの人と楽しくふれ合う経験をさせて、知らない人を怖がったり咬んだりしないように予防するために利用します。実は、潜入している私たちも「社会化のお手伝いをしてください」と、ワンちゃんたちにこのオヤツを手から食べてもらいました。

ワンちゃんは、いろいろな人からオヤツをもらうことで、将来的に知らない人や初めて会う人を怖がることが減るそうです。社会化とは順応する力を養っていくことですが、ただ他人とふれ合って慣れさせるだけでは、将来的に怖がらないとは限りません。そのためパピークラスでは、ワンちゃんに良い体験だったイメージが残るように、子犬にとってうれしいことをプラスするように指導されていました。それが良い社会化のコツだそうです。

大谷先生からのメッセージ

将来の困った行動を予防するためにもさまざまな良い経験を積みましょう

パピークラスには、さまざまな目的があります。社会のいろいろなものに慣れさせる子犬の社会化もそのひとつ。子犬を取り巻く社会で、見るもの、触れるもの、聞くものすべてが経験になります。この時期から音やモノ、人、犬、外の世界などいろいろなことに慣れさせて順応する力を養うことで、将来的にそれらの刺激を怖がらなくなります。パピークラス中にも知らない人からご褒美のオヤツをもらう練習を行いますが、ワンちゃんが飼い主さんと暮らす環境でも、散歩中に会った人や家に来たお客さまからご褒美のオヤツをもらうことを宿題としてやってもらいます。この時期から慣れさせることで、ゆくゆくお散歩中に近づいてきた人や、自宅に遊びに来た方、宅配員に対して、怖がって唸ったり吠えたりする行動の予防にもつながります。ワンちゃんの社会化のポイントは、とにかく楽しい経験を重ねること。飼い主さんもこの宿題をきっかけに、久しぶりの友人や親戚に会ったり、お散歩の時に近づいて来た方と会話してみたり、ワンちゃんと一緒に楽しんで練習してみてほしいです。