1. トップ
  2. ウェブマガジン ペットと、ずっと。
  3. こねこ塾に潜入! Vol.3〜動物病院嫌いにさせないために〜

こねこ塾に潜入! Vol.3
〜動物病院嫌いにさせないために〜

もともと猫は移動が苦手な動物。「外出は動物病院に行くときだけ」というケースも多いため、
病院嫌いの猫ちゃんはたくさんいます。慣れない屋外に出ることのストレスに加えて、
さらに病院で大きなストレスがかかると治療に悪い影響を与えてしまうこともあります。
「こねこ塾」では病院嫌いにさせない慣らし方や通院のコツについても教えてくれました。

お話を伺った先生村田 香織 獣医師
(もみの木動物病院)

兵庫県神戸市にある「もみの木動物病院」の獣医師。犬や猫の攻撃行動、無駄吠え、不適切な排泄などといった問題行動の治療やしつけを専門に活躍中。飼い主とペットが楽しく幸せに暮らすための教育を、こころのワクチンとして執筆・講演活動を通じ多方面に取り組む。著書に『こころのワクチン』『パピーケアスタッフBOOK』など。
http://www.mominoki-world.net/

INDEX

日頃からキャリーバッグに慣らしておく

全4回コースの「こねこ塾」の中で、村田先生が毎回繰り返して伝えているのが、キャリーバッグに慣らしておくことの重要性です。猫は自分のテリトリーの中で生活することを好むので、たとえ大好きな飼い主さんが一緒にいても不慣れな場所に行くことはとても苦手です。病院嫌いの猫ちゃんの診察では、キャリーケースから出すことも難しかったり、攻撃的になったりして、診察や治療が十分にできないこともあるそうです。また、入院やペットホテルで緊張してごはんが食べられなくなったり、そもそもキャリーバッグに入ってくれないので動物病院に連れて行けないというケースもあるといいます。
動物病院へスムーズに連れて行き、診察を受けるには、第一段階としてキャリーバッグに慣らしておくことが大切。成猫になると警戒心がますます強くなるので、子猫のうちからキャリーバッグに慣らす練習を行いましょう。

STEP1

猫ちゃんを持ち運びするためのしっかりしたキャリーバッグを用意します。前のドアが取り外しでき、上部も開けられるタイプがおすすめだそうです。
自由に出入りできるようにドアを外して、猫ちゃんが普段いる部屋に置いておきます。

STEP2

1日1回、キャリーバッグの中に、猫ちゃんの好きな食べ物を入れておきます。食べ物はドライフードでもよいですが、お気に入りのおやつなど嗜好性の高いものほど効果的。

STEP3

猫ちゃんが自分からキャリーの中に入って食べるようになったらOK。これを繰り返すことで、キャリーに抵抗なく入るようになります。

STEP4

キャリーに入ることに慣れたら、入っているときにドアを閉める練習をします。
ここまで来たらキャリーで移動することにも慣らして行きましょう。キャリーの中に入れたままでお散歩に行くのもお勧めです。

日頃から入り慣れているキャリーバッグで動物病院に連れて行くことで猫ちゃんも落ち着いていられますし、入院やペットホテルに預ける際にもケージの中にこのキャリーごと入れてもらうことで猫ちゃんも安心して過ごすことができるというわけです。
取材当日は3匹の猫ちゃんが飼い主さんと一緒に参加し、キャリーバッグに入っておとなしくしていましたが、こねこ塾に連れてくることも移動に慣らす練習になっているのです。

自分の匂いのついたタオルを持参する

また、猫は匂いからの情報を大切にする動物なので、自分の匂いがついている場所だと安心します。そこで、あらかじめ猫ちゃんのよく寝る場所にタオルを置いたり、タオルの上で食事を与えたりして、タオルに自分の匂いをつけておき、それを病院に行くときにも必ず持って行くとよいそうです。診察台の上に自分の匂いのついたタオルを広げたり、体を包んだりすることも猫ちゃんを安心させ、ストレスの軽減につながります。

大好きなおやつで
診察台の印象を変える

病院の印象を良くするために、お気に入りのおやつなど持参して診察台の上で与えるという方法も!
診察台は具合が悪い時に検査や治療のために体を触られたり、注射を打たれたり、猫ちゃんにとってどうしても苦手な場所になりがちです。けれども、嫌なことをされることなく、大好きなおやつがもらえれば、怖くない場所・うれしい場所という良いイメージを持たせることができるというわけです。
とはいえ、緊張して食べられない子もいるので、自宅でもキャリーの中で好物を与える練習をして、病院に来るときにはその容器も一緒に持って行くとよいそうです。半日ぐらい食事を抜いて、お腹を空かせておくとより効果的なんだとか。
この日のこねこ塾でも、講義が始まる前に診察台の上でおやつをもらう練習から始まりました。堂々とおやつを食べる猫ちゃんも入れば、かたまってしまっておやつどころではない子もいましたが、こうして少しずつ慣らしていくことが病院でのストレスを減らすことにつながっていくのですね。

自宅で投薬の練習をしよう

動物病院絡みでもう一つ。猫ちゃんが体調を崩した時、病院で飲み薬をもらっても嫌がられて上手に飲ませられないという人も多いのではないでしょうか。猫は投薬が難しい動物で、病気になってはじめて無理やり薬を飲ませると、飼い主さんを避けるようになってしまうこともあるといいます。でも、投薬も日頃から練習して慣らしておくことができるのだそうです!
投薬練習の方法は、毎日、猫ちゃんがお腹を空かせてごはんを欲しがっている時に、猫の口をそっと空けて、小さな粒のキャットフードをポンと1粒、口の中に入れます。これを1~2粒繰り返したら、「おりこうだね」とほめていつもの通り食事を与えます。こうすることで、飼い主さんに口を開けられても驚かなくなるそうです。村田先生のお宅の猫ちゃんたちの投薬練習の様子が動画で紹介されましたが、皆、嫌がらずに口を開けて1粒ずつフードをもらっていました。これができていれば投薬がずいぶん楽になるだろうなと、とても感心しました。

村田先生からのメッセージ

猫は犬のように毎日散歩もしないため、意識しなければ外出に慣らす機会はほとんどありません。また、猫ちゃんはもともと警戒心が強く臆病なコが多いので、一度、動物病院で怖い思いをするとそれがトラウマになり、次回の診察の時にはさらに怖がるようになってしまいます。猫ちゃんのストレスを少しでも減らし、診察や治療を受けやすくするためには、飼い主さんの協力が大切なので、クレートトレーニングはしっかり行いましょう。
また、猫ちゃんが元気なうちから投薬の練習をしておくと、いざという時に本当に驚くほどスムーズに薬を飲ませることができるようになりますから、子猫のうちからぜひ練習してみてください。