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DOG CAT 大切なペットと一緒に。ペットの防災対策

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9月1日は防災の日です。
2018年の上半期は島根県西部地震や大阪府北部地震で、立て続けに大きな地震が続き、
さらに西日本豪雨(平成30年7月豪雨)など数々の災害に見舞われました。
災害が起こった時、ペットを連れて速やかに避難するために、日頃から防災意識を高めておくことが大切です。
いざという時のために、今からしっかり備えておきましょう。

お話を伺った方平井潤子さん
(NPO法人アナイス)

公益社団法人東京都獣医師会事務局長
人と動物の防災を考える市民ネットワークNPO 法人アナイス代表
災害時に動物と共に避難するための情報提供などのサポート活動を行っています。
http://www.animal-navi.com/

ライター:白石梨沙

INDEX

災害に備えたしつけと健康管理のポイント

日頃からペットに行っておきたいトレーニングは?

そもそも犬は人間と一緒に社会参加する動物ですから、飼い始めた時から社会化のトレーニングや、呼び寄せ、待たせること、人に飛びつかない、無駄吠えをしないなどのしつけが必要です。それが災害時に素早く避難したり、避難所に同行した際の受け入れや理解につながります。また、避難生活ではペット飼育スペースなど複数の犬が集団で生活する場合や、飼い主が犬を残して出かける時など、ケージに入る機会が増えますので、そこでハウストレーニングが役立ちます。

猫は犬と比較するとしつけが難しいと思いますが、日常的に習慣にしておくことでカバーできることもあります。たとえば、猫の隠れ場所にケージやキャリーバッグを置いておき、何かあったらそこに逃げ込めるように安全・安心な場所にしておくことが、発災時の猫の安全と、その後の速やかな避難行動につながります。

災害に備えて、日頃からペットにどのような健康管理を行うとよいですか?

①基礎データをもっておく
避難生活の中でペットが体調不良に陥った時、震災が原因なのか、その前から抱えていたものなのか判断するためには、年に1回血液生化学検査をしたり、健康診断を受けておき、基礎データを持っておくとよいでしょう。

②ワクチンやフィラリア予防、ノミダニの駆除など基本的な予防管理を行っておく
災害時は急激に環境が変化します。場合によっては今まで室内で飼育していたペットが、屋外で過ごすこともあり、温熱環境の悪化だけでなく、蚊との接触や公衆衛生環境も悪くなります。いろいろな環境で飼育されていたペットが、ペット飼育スペースに一同に集まることも考えられますので、感染症の集団発生などを防ぐためにも日頃からの予防管理が大切になります。
犬はワクチン(狂犬病予防接種・混合ワクチン)やフィラリア予防、ノミダニの駆除、猫はワクチン接種やノミダニ駆除といった基本的な予防管理を徹底しておきましょう。

③病気治療中のデータの管理
ペットの検査データや飲んでいる薬の情報を持ち出せるよう、携帯電話のカメラ機能を活用して、検査結果や薬の記号番号や容量の面を写真に写しておくと便利です。それがないと命や健康にかかわるもの(薬・療法食など)はローリングストック方式※1で、欠かさないように飼い主自身の責任で備ええましょう。
※1:ローリングストック方式とは、常に一定量をストックしておき、「使ったら買い足す」方法。

日ごろから備えておきたい備蓄品や避難用品

日頃から備えておきたいペットのための備蓄品について教えてください。

政府の地震調査委員会によると、関東から九州・沖縄地方までの広い範囲で被害が想定される南海トラフ巨大地震について今後30年以内の発生確率は70%以上としています。もしも発生した場合、地震被害は広域で首都が機能せず支援物資が全く届かないことも想定されます。何日分と決めてストックすると、賞味期限切れなども生じますので、前述したローリングストック方式で備えることをおすすめします。
また、保管場所も複数個所に。フードや水、薬や療法食、ペットシートや猫砂などは高温多湿になる場所を避け、直射日光の当たらない涼しい場所に保管しましょう。ケージ、飼育用品などデリケートな品質管理が必要のない物は屋外の物置や車のトランクなど、一度避難した後でも取り出せるような場所に備蓄するのもよいでしょう。避難は身軽に素早くできることが必要なので、重いケージや大きな飼育用品は後から持ち出すようにするのがよいと思います。

一定量をストックする 使い切ったら買い足す 図)ローリングストック方式

〈ペットの備蓄品のチェックポイント〉

すぐに持ち出しやすくしておくもの(犬猫共通)

  • フードや水
  • 薬や療法食
  • キャリーケース
  • 首輪、リード
  • ウンチ袋
  • 食器

一時避難後に取りに行くもの(取り出しやすい場所に保管)

  • ケージ
  • ペットシートや猫砂
  • ドライシャンプー
  • その他の飼育用品

災害時にペットとはぐれないための備えを教えてください。

放浪期間が長引くと、首輪が抜けてしまうこともあります。ペットの首輪に迷子札、鑑札をつけるだけでなく、マイクロチップも装着して、二重三重の備えをしておきましょう。
また、いざ迷子になった場合に災害時にポスターを作るのはひと苦労。準備品の中にペットの迷子ポスターも入れておくのもひとつの方法です。

あらかじめ情報収集しておくことや、話し合っておくこと

災害に備え、事前に情報収集しておきたいことについて教えてください。

地域のハザードマップは必ず確認しておきましょう。自分の住んでいる場所にどんな被害が生じるか、あらかじめ知らなければ備えることも、適切な避難行動もとれません。
また、災害時に自宅におらず、ペットのそばにいないことも想定して、被害を最小限に抑えられるように工夫することが必要です。水害が予想される二階建ての一軒家の場合は二階、土砂崩れのおそれがある場合は二階の山側から一番遠い部屋など、ペットの留守番は一番安全な場所が望ましいです。
さらに、地域の避難場所などの情報収集をする際には「同行避難」と「同伴避難」の意味を正しく理解しておくことも必要です。2018年に入り環境省は人とペットの避難に関するガイドラインを改訂しました。改訂した『人とペットの災害対策ガイドライン』では「同行避難」と「同伴避難」の意味を再定義しています。その背景には2016年の熊本地震において「同行避難」「同伴避難」の意味合いに誤解が生じ一部報道やSNSの拡散で混乱が起きたことが挙げられます。

同行避難=危険な場所からより安全な場所(指定緊急避難場所等)にペットとともに避難すること。
同伴避難=被災者が避難所などでペットを飼養管理すること。ただし同室の避難スペースでの飼養を意味しない。

つまり、同伴避難の受入れがされていても同室の避難スペースでの同居を補償するものではなく、同室で飼養できるかどうかは避難所によって異なるということです。※2
地域や災害の状況、時間の経過によっても、避難所、自宅、車内、または被災していない地域の親類や友人に預けるなど、同行避難後の飼養環境の選択肢は異なってきます。自らの状況を踏まえて、もしもの時に適切な飼養環境を選べるよう正しく意味を理解し情報を得るように努めることが大切です。

「同行避難」と「同伴避難」の意味とは 【同行避難】 危険な場所からより安全な場所(指定緊急避難場所等)にペットとともに逃げること。【同伴避難】 被災者が避難所などでペットを飼養管理すること。ただし同室の飼養を意味しない。 ※ペットを同室で飼養できるかどうかは、避難所によって異なる。

※2:ただし、身体障がい者補助犬については、身体障がい者を補助するために、介添え者が同伴することと同様に、避難所などでユーザーは補助犬を室内に同伴させることができます。

災害に備えて日頃から家族や地域の人々とどのような話し合いをしておくとよいですか?

自助・共助・公助のうち、自助と共助が被害を最小限にするポイントだといわれています。
自分が備えることが家族やペットを守ることにつながりますが、地域コミュニティをしっかりと作っておくことも、助け合いや理解につながります。特に犬の飼い主はお散歩仲間がいらっしゃると思います。地域に住む飼い主同士が、助け合えるよう仲間を作ることで、物を持ち寄ったり、お互いにお世話をしたりすることができます。
また、小さなお子さまや高齢者がいるご家庭の場合は、助け合いがさらに必要になります。地域の避難訓練だけでなく、家族単位での同行避難もおすすめします。「この避難所のこの場所」と具体的な再会場所を決めたり、災害の種類によって避難場所を変える申し合わせもしておくといいでしょう。まずは人の避難を第一に考え、さらにペットをどう守れるかを日頃から家族同士で話し合っておきましょう。ペットと共に家族全員が無事に避難するためのシミュレーションを平常時におこなっておくことが大切です。

もしも災害が起こったら

災害が発生したら、ペットを連れてどのように避難したらよいですか?

災害の種類によって避難行動が異なってきますが、一般的に小型犬や猫はリードをつけて、キャリーバッグに入れて避難します。ペットバギーは多頭飼いや中型犬の移動に便利です。カートからキャリー部分が取り外せるタイプであれば、避難先で簡易ハウスとしても役立ちます。ただし、災害時はエレベーターが停まっている可能性が高いです。そのためバギーを使いたい場合はスムーズな避難ができるための避難ルートを考えておきましょう。
中・大型犬などがれきを歩く場合には、足や肉球を傷つけない工夫をしておきましょう。多頭飼育は運ぶ方法をあらかじめ検討しておき、避難しなくてもすむ対策についても講じておきたいです。
猫はキャリーバッグ内で長期間暮らせないため、避難先を確保しておくようにしましょう。こうすれば安全という保障ができないのが大規模災害ですが、備えることで被害を減らし生き延びる可能性を高めます。

災害発生時、ペットを連れて速やかに避難するために、日頃からやっておくべきことは?

災害の種類によって異なりますが、地震に対しては住む場所の耐震対策をすることが一番大切です。その場所が人にとってもペットにとっても安全な場所でないと、速やかな避難行動に移れません。リードや首輪はいつも過ごしている場所に置いておくといいと思います。地震が起こった時にどう行動するかの具体的なシミュレーションも大切です。最も大事なことは、まずは人の安全を確保することです。台風などはあらかじめ天気予報で予想がつきますので、早めに避難しておくことがポイントです。

最後に、ペットと暮らす読者へメッセージをお願いします。

ペットを守るのは飼い主なので、まずは飼い主が無事でいるために、人の防災対策からスタートしてください。自分や家族を守る防災力を上げることが、地域の防災力を上げることにつながります。それが災害を乗り越えて生き延びることにつながるのです。
また飼い主としてペットを飼育していることを近隣に受け入れてもらえるよう、マナーを守り、トラブルなくペットと暮らしていることが、災害時の避難所での受け入れや理解にもつながると思います。飼い主にはペットを守る責任と、社会に対して果たす責任があります。大切な家族の一員を守るために、今日から我が家オリジナルの災害対策を話し合ってみてください。

今まで、さまざまな災害の現場を目の当たりにしてきた平井さんだからこそ、ひとつひとつの言葉に重みがあります。日頃から防災意識を高めておき、しっかり準備や対策を行うことが家族やペットを守ることにつながります。

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