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DOG その行動、ホントに犬の認知症?

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認知症は、認知機能が弱くなる状態で、言葉が話せない犬の場合、
説明のつかない異常な行動から認知症が疑われます。
シニア犬を持つ飼い主さんは、「うちの子が認知症になったらどうしよう…」という不安や、
「もしかして認知症かもしれない」と思うような行動が出てくるかもしれません。
そんな高齢犬の行動変化についてアドバイスしていただきました。

お話を伺った先生三浦 裕子
(ペットケアサービスLet's)

ペットケアサービスLet's代表。JAPANペットケアマネージャー協会、日本ペットシッター協会、日本ペットショップ協会などで、プロ向け講座や各カルチャースクールでも講師を務める。主な著作、監修に『4歳からはじめる愛犬の健康生活習慣』『7歳からのシニア犬とのしあわせな暮らし方』がある。
http://lets-pet.com/

ライター:山ノ上ゆき子

INDEX

気になる行動を問題行動と異常行動の2つに分けて考えてみましょう

人間のように会話やペーパーテストなどによる認知症の診断ができない犬の場合、普段の生活の中での説明のつかない異常な行動から、「犬の認知症」が疑われるようですね。認知症のサインには「飼い主に反応しない」「ふれるとおびえる」「夜鳴き」「失禁や不適切な排泄」「指示の言葉や合図がわからなくなる」「徘徊」などがあると聞きますが、そのような行動があったとしても、認知症と判断するのはまだ早いと考えています。わたしの経験では、その8割は生活習慣で改善する問題行動、1割が認知症、残りの1割が別の疾患だと感じています。
高齢の愛犬のいつもと違う行動に、飼い主さんは「もしかして認知症かも」と頭によぎるかもしれませんが、ほとんどの場合は、身体の衰えや生活習慣などが原因の問題行動で、家庭での対策によって改善も可能です。まずは、異常行動なのか、老化による問題行動なのかをよく観察し2つに分けて考えてみましょう。私が認知症かもしれないと感じた異常行動は「食事の直後に食事を求め続ける異常な食欲」「好きなものの誘導にも反応せず意思なく立っている状態」「何をしても感情変化が感じられない」など意思や感情変化がない行動です。問題行動なのか異常行動なのかがわからない時は、愛犬の気になるシーンを動画撮影して、獣医師さんに具体的な行動変化について相談しましょう。そこで、別の疾患がみつかる場合もあります。異常行動の場合は、獣医師さんの治療やアドバイスを受けるが良いのですが、できれは老犬介護の経験のある獣医師さんに診てもらうのがオススメです。問題行動の場合は、そこに何かしらの意思があり何らかの理由から行動変化が起きているケースが多いです。その中でも多く相談を受ける問題行動のケースを紹介しますので、参考にしてみてください。

【行動変化1】
夜鳴きするようになった

体内時計をリセットすることも夜泣きを改善する方法のひとつです

昼間寝ていることが多い高齢のワンちゃんが夜中に目が覚めて、「クーンクーン」と鳴いたら、飼い主さんが見に来てくれたという経験をしたとします。犬の睡眠周期は、2時間程度、最初の夜鳴きが深夜1時頃だとすると、次に目覚めて鳴きだすのは、深夜3~4時ごろ。最初は「クーンクーン」というかわいい鳴き声だったものが、飼い主さんが起きないでいると、もっと強い声でアピールしないといけないと思い、次からは「ワンワン」吠えるようになってしまいます。これが連夜になると、困りますよね。犬の夜鳴きはほとんどの場合「昼夜逆転現象」が起こっているだけなので、愛犬の体内時計をリセットして、正常に戻してあげれば解決しますよ。

リセット方法は、朝になったら、しっかり朝日を浴びさせて、昼間はなるべく活動をさせ夜は部屋を暗くするなど、本来あるべき生活パターンに戻せば良いのです。昼間寝てばかりで活動しないでいると夜目覚めやすくなるのは当然のこと。特に昼間お留守番しているワンちゃんは、飼い主さんが滞在する夜に起きる傾向が強くなります。平日は仕事で忙しいなら、土日などの休日がリセットのチャンス。朝ちゃんと起こして、昼間は外にどんどん連れ出し、昼寝のチャンスを与えないほど、たっぷり遊びましょう。すると、体内時計が正常になり、夜はぐっすり眠って夜鳴きも減りますよ。また、このような「昼夜逆転現象」は、毎朝太陽の光を浴びることが予防になります。

【行動変化2】
呼んでも反応しない、
突然トイレを失敗するように
なって心配です

高齢になった犬は、トイレを失敗するぐらいはよくあること

高齢になると、わかっていても動くのが面倒になることも増えてきます。飼い主さんが呼んでいるとわかっていても「どうせ、こんな用事でしょ。面倒くさいなぁ」と無視しておこうとすることが増えてきます。もちろん、耳が遠くなっている、目が悪くなっているなどで反応が鈍くなっている場合もありますが、わざと無視していることもあるのでよく観察してください。トイレに対しても、遠い場所にあると動くのが億劫になり間に合わないことや、筋肉の衰えから漏らしてしまうことも多くなります。こんなトイレの失敗は、異常行動ではなく、高齢になるとよくあること。この問題は、トイレをワンちゃんの居場所の近くに移動する、オムツをするなどが有効な解決策になります。

そのためには若いうちからオムツやマナーウェアに慣れさせておく、室内トイレをマスターしておくことが鍵。マナーウェアは、楽しいこととセットで教えるとスムーズです。たとえば、ドッグランで走るのが好きなワンちゃんなら、マナーウェアをつけたら、ドッグランで自由に遊べるというルールにすれば、最初は装着を気にしていたワンちゃんも遊びに夢中になるうちに平気になったりしますよ。

【行動変化3】
ある日突然、
触ろうとするとおびえたり
唸るようになった

体に痛みがある可能性があるので原因を考えましょう

ある日突然、あまり動かなくなり、触るとおびえるような行動が見られたら「体に痛みがあるのかも」とまずは原因を考えてみてください。犬は言葉が話せないですし、痛みや不安があってもうまく伝えられないので、それを「急に私の手におびえるなんて認知症が始まったのでは?」と誤解をしてしまう場合が多いように感じます。高齢になると、長時間同じ姿勢を続けたり、使わない硬くなった筋肉を急に動かしたりすると痛みが出てくることもあります。対策としては、硬くなった筋肉を優しくほぐすマッサージを行うのがオススメです。また、予防するためには、日ごろから足腰を鍛えるお散歩を心がけましょう。たとえば、緩やかな坂道をゆっくりと歩く、木の根が浮き出た大木の周りをゆっくりと歩くのも、後ろ足のエクササイズになります。

気持ちに刺激を与える毎日で
認知症予防!

認知症に限らず年齢を重ねていくと、体の機能の低下によって、今までできていたことができなくなってきます。介護が必要になる場合もありますが、悲しい気持ちにならず「愛犬が高齢になった」ことをきちんと受け止めて、今できることを楽しんでください。体が不自由になったとしても、犬の感情は衰えません。毎日プラスの言葉を声に出して、愛犬に話しかけましょう。「今日は、お散歩でこれができて良かったね」「楽しいね。今日もありがとう」など、プラスの言葉を話す時の飼い主さんの表情は明るく優しくなっているはず。それをワンちゃんは、見ています。「ごめんね」などの言葉は表情が悲しげになってしまい、ワンちゃんが心配しちゃうので、できれば悲しくなる言葉は言わないようにしてあげてほしいですね。

ワンちゃんも生活がワンパターンになり、ボーっとする時間が長くなると認知機能がどんどん衰え、認知症予備軍につながるように思います。この対策としてオススメするのは、“脱ワンパターン生活”です。生活ルーティンの中に愛犬の予測を裏切る楽しいサプライズ的な要素を取り入れると、それが気持ちの刺激になって、ボーっとすることが減るように思います。たとえば、いつもと違う散歩コース、いつもと違うゲーム、いつもと違うおいしいものが突然出てくるとか。うちでは、ジャンケンゲームや、くすぐりゲームを突然始めて、14歳の愛犬との生活を楽しんでいます。ワンちゃんの体が動く間は、旅行や意外な場所へのお出かけもオススメです。変化のない毎日は、頭も衰えやすくなります。次はどんなことがあるのかな?と愛犬に期待させるワクワクドキドキの毎日にしてあげましょう。

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