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DOG 寝たきり予防!
高齢犬との遊び方やマッサージ

「昔と比べて、少し元気がなくなってきた」「お散歩が負担にならないか心配」
「このまま寝たきりになってしまうのかな」
そんな不安を抱える飼い主さんのために、寝たきりを予防しながら、
ワンちゃんと楽しく過ごす遊び方や、マッサージの方法をご紹介します。

お話を伺った先生三浦 裕子
(ペットケアサービスLet's)

ペットケアサービスLet's代表。JAPANペットケアマネージャー協会、日本ペットシッター協会、日本ペットショップ協会などで、プロ向け講座や各カルチャースクールでも講師を務める。主な著作、監修に『4歳からはじめる愛犬の健康生活習慣』『7歳からのシニア犬とのしあわせな暮らし方』がある。
http://lets-pet.com/

ライター:森田 哲生
カメラマン:宮川 久

INDEX

シニア期の変化を知って楽しく過ごすために

シニア期のワンちゃんとの生活で、心がけるべきこととは?

まず、シニア期に入ったからと言って、生活を一変させないことが大切です。犬種によっても異なりますが、ワンちゃんたちの「シニア期」はおよそ7〜8歳から。ちょうど人間の50歳くらいをイメージしてもらえばいいでしょう。いきなりからだが動かなくなるわけではなくて、疲れが取れなくなってきたり、食欲がなくなったり、思わぬところで転んでしまったり……。この時期は胃腸やからだの変わり目で、いろいろな変化がはじまります。それはワンちゃんも同じです。人間なら、「このままではマズイ」と感じてジョギングをはじめたり、スポーツクラブに通ってみたりしますが、そこまで老化を自覚できるワンちゃんはほとんどいません。以前は乗り越えられた段差を踏み外しても「あれ?やっちゃった?」という顔をするだけですが、その頻度が徐々に増えていくと、自分から運動しようとしなくなってしまうことも。何もケアしないでいると、ますます動かなくなり、筋力が衰え、寝たきり状態になる時期が早まってしまうことがあります。この時期は飼い主さんたちが意識的に食事を消化のいいものに変えてあげたり、運動をさせてあげたり、動物病院で健康診断をしてもらったりすることで、5年後、大きな差が生まれてしまうこともあります。

シニア期を過ごす上で意識したいポイント

  • ワンちゃんのシニア期は一般的に7〜8歳
  • 人間の50歳くらいをイメージするとわかりやすい
  • シニア期に入ったからといっていきなり生活を一変させない
  • いたわりすぎると寝たきりになる時期がはやまることも
  • シニア期はからだや胃腸の変わり目でもある
  • 運動や食事の変化で対応してあげれば十分

寝たきり防止につながる
散歩のスタイルとは

お散歩させる時間は減らした方がいいのでしょうか?

お散歩は「時間」よりも「質」を変えることをおすすめします。同じ1時間なら、ゆっくりと歩いて筋力が付くような散歩をしたり、30分でも少し負荷のかかる運動を取り入れてみたりするのがいいと思います。例えば、今まで歩いていた平坦なアスファルトの道を、土手やワンちゃんが入ってもいい公園の芝生に変えるだけでも随分違います。大切なのは肉球を動かすこと。肉球が動けば、そこにつながっている筋肉や腱が動いて、インナーマッスルが鍛えられていくんです。起伏や段差がある道もいいですね。階段はワンちゃんのからだに良くないと思っている方も多いようですが、ゆっくり4本の足を別々に動かすようにちょっとした段差を上ったり降りたりするのは、4本の足を別々に動かすので、非常にいい運動になります。日本の住宅の階段と、日本の小型犬の体型が合っていないだけで、海外では階段を使ったリハビリも盛んに行われています。降りるときは前足に、登るときは後ろ足に適度な負荷がかかって、効果的ですよ。ワンちゃんのからだに合った段差は、なかなかないかも知れませんが、ちょっとした縁石をゆっくり乗り越えさせてあげたりするだけでも、効果があります。急いで飛び越えようとさせず、スピードをコントロールしてあげるのがポイントです。

お散歩のポイント

  • お散歩は「時間」よりも「質」を変える
  • 平坦な道より起伏や段差がある場所で立体的な運動を
  • 肉球を動かすことを意識してあげる
  • 4本の足が別々に動く運動も効果的

大切なのはちょっとした変化と工夫との積み重ね

エイジングケアにつながる遊び方を教えてください

シニア期のワンちゃんたちの筋力を保ち、元気に過ごせるようにするためには、特別な器具や方法は必要ありません。室内・屋外に分けて、手軽に取り入れられる遊び方やトレーニングをご紹介しましょう。

室内での遊び方

  1. 柔らかいものの上を歩かせてあげる

    クッションやお布団など、足が沈み込むような柔らかなものの上は歩きにくいため、ゆっくりしっかり足と肉球が動きます。1日1分でもいいので、続けてみてください。

  2. ルーティーンに変化をつける

    お手やお座り、待て、お預けなどの動作も、シニア期のワンちゃんにとってはできて当たり前なので飼い主さんもワンちゃんもおざなりになりがち。サインをジャンケンのグー・チョキ・パーにしてみたり、ごはんを上げるまでの合図に変化をつけたりすると、ワンちゃんは「次は何が来るの?」と考えるようになり、脳トレにつながります。

  3. 「お手」で軽く引っ張る

    お手のとき、差し出してきた前足を軽く握って引いてあげましょう。ワンちゃんは反射的にからだを後ろに動かします。この刺激が内側の筋肉と脳に刺激を与えてくれますし、コミュニケーションの活性化にもつながります。

  4. おやつ探しゲームにチャレンジ

    お家の中でわざとおやつを落としておいてにおいを頼りに探す。いろんなおやつを並べておいて好きなおやつに向かって走る。ワンちゃんがとれる範囲で、いろいろ場所、いろいろな高さにおやつを隠して探してもらう。そんな遊びもいい刺激になります。

屋外での遊び方

  1. ゆっくり歩いて褒めてあげる

    お散歩はゆっくり、一歩ずつ大切に踏みしめて歩く。実はゆっくりと足を上げて、ゆっくりと足を下ろすという動作は、早く動くことより難しいんですね。飼い主さんがその一歩ずつを「すごいね」「歩けたね」と褒めてあげると、ワンちゃんもやる気になってくれます。

  2. いろいろなにおいを嗅がせる

    お散歩中に安全な場所を決めて、草や土、自然なもののにおいを嗅がせてあげてください。ワンちゃんたちが「これはなんのにおいだろう?」と考えることがすごく大事です。においを嗅ぐと鼻の周りの、脳に近い筋肉が動くので、脳の活性化にもつながります。

ワンちゃんの元気につながる
簡単マッサージ

今すぐ取り入れられるマッサージはありますか?

マッサージと聞くと難しそうなイメージを持たれる方もいるかと思いますが、スキンシップしながら手軽にできるマッサージ方法をご紹介していきましょう。

(1)温めて撫でる

飼い主さんがスキンシップを取りながら、脇の下、肩甲骨、股関節、腰回り、足の付け根、つま先などを、実際に触ってみて、関節が縮こまっているな、筋肉が固くなっているなと感じたら、温かい蒸しタオルや氷嚢にお湯を入れたものをあててしばらく温めてあげます。それから毛の流れに沿って手で撫でてあげましょう。温めることで血行が促進され筋肉が緩み、撫でるだけでも筋肉が揺れ、縮こまっていた関節の改善につながります。
もっと簡単でお手軽な方法として「足湯」もおすすめです。
浴槽に愛犬の体温と同じぐらいの温度のお湯をかかとが埋まるぐらいまで溜めて5分程つかります。末端から血流がよくなって、筋肉が固くなり腰が下がっていたワンちゃんにも効果的です。
足湯が終わったら、濡れた被毛や皮膚は早めにきちんと乾かしてあげましょう。

(2)趾骨(しこつ)マッサージ

つま先で立っている犬の脚には、指先にあたる趾骨(しこつ)があります。
趾骨(しこつ)周りが固くなってしまうと、つま先で立つことが出来ずに股関節や腰へ負担をかけてしまい、腰が下がった姿勢になってしまいます。
蒸しタオルでしっかり温めた後、片手で脚の指の付け根辺りを押さえ、もう片方の手でゆっくりとやさしく趾骨(しこつ)を回してあげます。この時、力を入れすぎないように注意しましょう。
趾骨(しこつ)をほぐして、しっかりつま先で立つことができれば、下がってしまった腰の改善にもつながります。

(3)顔と皮膚のマッサージ

私がおすすめしているのは顔のマッサージ。とにかく顔を触ってあげてください。歳を重ねていくと、表情筋がだんだんと弱ってきて、表情が乏しくなっていくことがあります。顔の動きが悪くなると、舌の筋肉も弱ってきて、ごはんを食べたり、お水を飲んだりすることも難しくなって、嚥下も悪くなります。いつまでも自分の口でごはんを食べてもらうためにも、顔周りの巡りをよくする。脳に近い場所なので脳への刺激にもなる。だから、ワンちゃんの顔のかたちが変わるくらい、耳や目の周りをグニグニと動かしてあげましょう。口の周りなどを触られることを嫌うワンちゃんもいるので、できる範囲でかまいません。顔を引いたり、口角を上げて歯を出したりしたら、それは「イヤだよ」というサインなので気をつけてあげましょう。1日1分でも続けていけば違いが出ますよ。あとは、ツボなどの専門的なことは考えなくていいので、身体全体の皮膚をゆっくりやさしく動かしてあげるのも血流に良い影響を与えます。

前向きに歳を重ねるために

末永く一緒に元気に暮らしていく上で、他に気をつけるべきポイントは?

私は「歳を取ったからこそ外に出よう」と考えていて、自分が飼っているワンちゃんとは旅行にもよく出かけています。視力が衰えてきたら控えた方がいいですが、普段の散歩でもコースを変えてみたりして、行ったことが無い場所へ連れて行って刺激を与えてあげるといいですね。それから忘れてはいけないのは、10年一緒に過ごせば、飼い主さんも10年一緒に歳をとっているということ。だから一緒に歩いて、一緒に筋力アップを図ることが重要なんです。
ワンちゃんが歳をとって、できることが減っていっても悲しむ必要はありません。年齢を重ねたからこそできることもたくさんありますからね。若い頃よりも心の距離が密なので、コミュニケーションをとればとるほど面白いこと発見がある。ワンちゃんだって飼い主さんを長年見ているから、飼い主さんの心の隙をついてイタズラをしてきたりするんですよね。わざと具合が悪そうな顔をして、心配して声をかけると「にひひ」と笑ったり。そんなやりとりはシニア期のワンちゃんならでは。コミュニケーション力が高くなっているから、そうやって心を通わせるきっかけをつくって、そのやりとりを楽しむ。それがシニア期を一緒に楽しく過ごす秘訣ではないでしょうか。

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